便秘でお悩みの方へ
便秘はよくある身体の不調で、ほんとうに沢山の方が悩まれている疾患です。
しかし、「体質だから仕方がない」、「恥ずかしい」などの思いから受診出来ていない方が沢山みえます。便秘は不快なだけでなく、生活の質を下げる原因となります。また、大腸がんを含む腸の病気や痔になるリスクを上昇させてしまいますし、実は大腸がんなどによって大腸の一部が狭くなったり、閉塞していることで便秘の症状が起こっているケースもあるので、原因を見極めて適切な治療を受けることが大切です。当院では、消化器内科医が診察・適切な検査により診断し、原因や体質、ライフスタイルに合わせた治療を行っていますので、便秘でお困りの方はお気軽に受診してください。
便秘とは
「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できていない状態」と慢性便秘症診療ガイドラインにより定義されています。一般的に便秘は排便が数日ない状態と考えられていますが、実は毎日排便があっても、便が硬くて排便しづらかったり、排便後にすっきり感が得られない、腹痛を伴うなど、その人が排便に満足できていない状態であれば便秘であり、適切な治療により症状の解消が必要です。
便秘の種類
便秘の種類は大きく二つに分けることができます。
器質性便秘
大腸に腫瘍・炎症・癒着などによる狭窄や閉塞など、見た目上の病変がある場合に起こる便秘です。また、生まれつき大腸の長さや形に異常があり慢性的に便秘をしている場合も器質性便秘にあてはまります。
機能性便秘
大腸に見た目上の問題はないけれど、動きや働きに異常がある場合に起こる便秘で3つに分類されます。
弛緩性便秘(腸の動きが悪い)
大腸の動きが鈍ることで便を押し出すことができず、大腸に長時間便が留まってしまう。
特徴
- 硬い便
- ガスが溜まりお腹が張った感じがする
- 排便後にすっきり感がない
けいれん性便秘(腸が過緊張をおこす)
ストレスなどにより自律神経が乱されて腸がけいれんするように動いてしまい、便がスムーズに肛門の方に進んでいかない。
特徴
- 便秘と下痢を繰り返す
- 兎糞ウサギのようなコロコロ便
直腸性便秘(直腸に便がたまる)
便が肛門付近まで来ているのに排便反射がおこらず上手く排便できない。便意を我慢してしまう習慣がある人におこります。
特徴
- 便が出そうで出ない
- 排便に強いいきみが必要
- 残便感がある
便秘の原因
大腸がんやポリープによる大腸の狭窄、腹部手術などの影響による腸管癒着、水分や食物繊維の摂取量不足、過度なダイエット、運動不足(寝たきりなど活動量の低下)、腸内フローラの乱れ、ストレス、環境の変化、薬の影響、習慣的に排便を我慢してしまっているなど便秘が起こる原因は様々です。また、これらの原因がいくつか重なって起こっていることもよくあります。近年増加傾向の過敏性腸症候群の便秘型として発症しているケースもあります。その他、便秘を引き起こしやすい病気として、パーキンソン病、甲状腺機能低下症、膠原病の一部などがあります。まずは、重大な病気が隠れていないかを確かめ、原因を把握し適切な治療を受け、快適な生活を取り戻しましょう。
便秘外来の診察の特徴
プライバシーへの配慮
受付で受診される診療科や症状等を伺うことはありませんので、どうぞご安心ください。また、診察室は個室となっていますので、待合室などに診察の内容が漏れることはありません。
女性医師による診察
便秘は女性に多いお悩みです。生理周期に影響される、便秘による肌荒れが気になるなど、女性医師への方が相談しやすいことも多いかと思います。当院では、女性医師による便秘外来を行っていますので、女性医師外来日を確認のうえ、安心して受診してください。
診療の流れ
Step1問診・診察
どんな症状で特にお悩みなのか、頻度、発症時期、これまでの経過、現在服用している薬、病歴などを伺います。また食生活などライフスタイルも便秘に影響しますのでお聞かせください。しっかりとお話を伺った後、腹部の聴診・触診を行いお腹の状態を確認します。
Step1検査・治療方針の決定
問診や診察の結果より必要があれば、血液検査、腹部超音波検査、腹部レントゲン検査、大腸カメラなどを行います。検査結果は医師よりわかりやすくご説明し、原因や便秘のタイプなどをふまえて治療方針決めていきます。便秘の治療薬にはたくさんのタイプがありますし、漢方薬での治療も可能ですので、ライフスタイルに合わせた治療を選択することを心がけております。ご希望やご心配なことがあれば、お気軽にお伝えください。
便秘の治療
生活習慣の改善
水分や食物繊維の積極的な摂取が大切です。規則正しい生活を行い、朝食後は必ずトイレに行くようにしてください。過度なダイエットで摂取量が極端に少ないと便秘の原因になるので、適切なカロリー制限と運動が大切です。また、腸内フローラは食事や生活習慣によって大きな影響を受けることがわかってきています。検査を受けた方は、検査結果を踏まえた腸内フローラ改善のための食事や生活習慣などの具体的なアドバイスを医師より受けることができます。
便意を感じたら、すぐにトイレに行くことも重要で、正しい排便習慣が戻ると再発予防にもつながります。
薬物療法
下剤にはたくさんの種類がありますので、症状や便秘のタイプ、ライフスタイルによって、きめ細かい配慮の上で処方を行っていきます。ご希望により漢方薬での対応も可能です。新しい作用の薬も次々と登場してきていますので、選択肢も拡がっており、市販の薬では思うように改善できていない方でも効果的な治療が可能です。また再診時にもご相談をしながら処方を微調整し、より快適に便秘を解消できるようにしています。
器質性の便秘の場合は、それに対する治療を行います。